Fall In Love With You

いけしゃあしゃあで暮らしたい

0118 ゴミカスアル中と円満退社天使の話




神話崩壊だの宗教戦争だのそんな言葉を使うのすら恥ずかしくなるくらいわたしの神様は堕ちてしまった。地上にでもなく、地獄にでもなく、きっとどこでもないどこかに。

神様を冒涜する人を、神様は愛した。本当のところはどうかわからない。けれど神様を愛するわたしは同時にわたしの目に映るものしか信じられないわたしでもあるので、それにどうしても耐えられなかった。
せめて見えないところだったら…と何百回か考えたけど、わたしの見えない・知らないところだとしてもわたしの神様が酷い言葉を浴びせられているのはやはり耐えられないし、かといって神様はその言葉を放つ人間を受け入れているのだろうから、ただ勝手に信じてるだけの平民のわたしは何もすることができない。

そこからはあっという間で、狂気的な信仰からスッと覚めてしまった。

あなたにしがみついていた。
あなたが大好きだった。
あなたさえいれば頑張れた。
あなたが大好きだった。

卒業する、降りる、好きでいるのをやめる、言い方はたくさんあるけど嫌いになるわけじゃないそれがわたしは酷く苦手だ。
変わることも終わることも嫌いで、できればずっと目を背けていたい。
そうにもいかないから、一度きちんとわたしから分離しようと思う。

わたしの神様でいてくれて、ありがとうございました。

またいつか拝める日が来るかもしれないし、来なくてもあなたを拝んでいた日々は確実に救われていました。


この文章を、iPhoneのメモに残したまましばらく経った。気持ちは変わっていない。
今回この文章を引っ張り出したのは、神様だけじゃなくてわたしが崇めていた天使がわたしの世界から居なくなって天界へ(果たしてそれは本当に天界なのか)、わたしの知り得ない場所へ行ってしまうからだ。

結局、わたしが生きる世界に生きている神様や天使など居ないのだ。

わたしが勝手に好きになって尊敬して崇めて応援してるだけで、彼はただの普通の(才能はあるから普通ではないかもしれないけど、)人間なのだ。



天使は昨年結婚した。とても喜ばしかった。ブログで公表してくれて、きちんと綴ってくれるなんて…!とそこも嬉しかった。(ちなみに神様だった人はずっと公表はしていない。もう、そこをとやかく言うつもりもない。)
が、そのブログの数ヶ月後に天界に帰ることを公表された。嫌な予感がした。
そしてその予感は恐らく当たった。

天使の仲間の1人も、昨年結婚した。何度も言うと嘘くさいだろうか、本当に喜ばしかった。それを知った時の別の仲間のコメントで目眩を起こした。

「結婚おめでとう!! バンド脱退すんなよ笑」

ああ、そういうことか。
ぐるぐると天使の結婚公表を思い出した。バンドじゃ食っていけないか。10年がタイムリミットだったか。気持ちか、けじめか、天秤か。その真偽はやっぱりわからないけれど、きっとそういうことなんだろう。



天使に恋心を抱いていたわけじゃない。でも、白く記憶を奪われたあの夏の日から、ずっと奏でられる音が、背中の曲線が、目の前に存在する天使が、目映くて尊くて、好きで、敵わなくて、大好きだった。大好きで、大好きだった。

かくして、わたしが天使と信じていた彼は世界から消えてしまった。
わたしはお別れを直接言いに行かなかった。チャンスはあった。だから「言えなかった」じゃない、わたしは怠惰に信仰心を覚まして「行かなかった」のだ。

さよなら、大好きでした。



オタクなので、好きの表現として「結婚して」と言うことがある。が、実際にそう思って記入済みの婚姻届を送りつけたりすることはない。
「結婚しないで」とは思わない。その報せを聞いたら、多分、いろんな意味でショックを受けるとは思うけど、自分が好きな人の幸せは祝福したいのは本心だ。
結婚、結婚、結婚、って愛する人同士が結ばれる素敵な出来事にどうしてわたしはこんなマイナスな感情ばかり抱いてしまうのだろう。嫌な人間。

他人の幸せと、自分の幸せは上手いことバランスがとれないのだろうか。
こんな風に観れなくなるのなら、居なくなってしまうのなら、もう何も好きにならない方がいいのではないか。

わたしの拙い推測や予想だけで覚めれる好きなら安い愛で偉そうに語るなと思われるのかな、とかくだらないことも考える。この気持ちは上手にきちんと伝わるかなとか。伝わらなくてもいい。むしろ生温い嘘の共感をされてはわたしの愛が泣いてしまう。



いなくならないでほしい。わたしのものになってほしいなんて贅沢は思ってないよと飲み込むけれど、わたしの世界から消えないでほしい。ずっとそこにいて。ずっとそばにいて。叶うわけはなくても祈ってしまう。好き、大好き、その言葉達にこんな思いを込めるのは重い。

そんなことが脳内を巡りながら、わたしは丸山さんの妻を名乗り圭人くんのかのぴを自称し、ときめきを追いかけることを、当分やめられそうにない。